フィリピンの基本情報

面積 30万平方キロ(日本の0.79倍)
人口 102,624,209人 (July 2016 est.)(CIA調査)
首都 マニラ(178万人、首都圏1,287万7000人)(2017世界年鑑)
主要都市 ダバオ(163万3000人)、セブ(92万3000人)(2017世界年鑑)
主要言語 公用語:英語、タガログ語
民族 マレー系が中心、中国系、少数民族等
宗教 キリスト教93%(カトリック83%)、イスラム教5%
GDP 3,043億米ドル(2016,IMF)
一人当りGDP 2,947米ドル(2016,IMF)
労働力人口 4,431万人(2015年ILO)
産業別分布(%) サービス業59.0%、製造業20.1%、農林水産業10.3%、建設業6.7%(2015年、(公財)国際金融情報センター各国情報より)
IL0中核8条約要 すべて批准
通貨 1米ドル=44.4ペソ、2014年平均
政治体制 共和制
国家元首 ロドリゴ・ロア・ドゥテルテ大統領
議会 二院制:上院24議席、下院286議席
行政府 内閣は大統領指名、首相なし
主な産業 農林水産業、サービス業
対日貿易 輸出1兆1,230億円,輸入9829億円(2016年財務省「貿易統計」)
日本の投資 2214億円(財務省「国際収支統計」(平成28年)
日系企業数 1,448社(外務省「海外在留邦人数調査統計(平成28年要約版))
在留邦人数 17,021人(外務省「海外在留邦人数調査統計」(平成28年要約版)
気候 熱帯気候 雨季5~11月
日本との時差 -1時間
社会労働情勢概要 ・2016年5月の選挙でロドリゴ・ロア・ドゥテルテが大統領に就任。
・国内生産年齢人口が多く、労働者の半数が第三次産業に従事する。中でもBPO(ビジネス・ブロセス・アウトソーシング)従事者数の伸びが著しい。需要面で景気拡大を牽引しているのは個人消費であり、それを支えているのが、1000万人もの在外フィリピン人労働者(OFW)からの送金である。
・国内の経済格差や非正規労働、インフォーマル経済(約8割)の増幅等が課題となっている。
・最低賃金は「賃金合理化法」にもとづき、三者委員会が地域と産業の最賃を決定。
・労働組合はフィリピン労働組合会議(TUCP)が主軸。組織化と組織拡大などに取り組むが、昨年、分裂を経験し、今後の対応が課題。
主な中央労働団体 フィリピン労働組合会議(TUCP:Trade Union Gongress of Philippines)
自由労働者連盟(FFW:Federation of Free Workers)
労働行政 フィリピン労働雇用省(DOLE: Department of Labor and Employment)
中央使用者団体 フィリピン経営者連盟(ECOP:Employers Confederation of Philippines)
最終更新日 2017年 6月 5日
主要統計
(GDP)
201120122013201420152016
GDP成長率 3.66.87.16.15.86.8
一人当りGDP(ドル) 2,3792,5872,7922,8652,8582,947
物価上昇率 (%) 4.63.23.04.11.41.8
失業率 (%) 7.07.07.16.86.35.7

1.国家としての成立過程(第二次大戦以降、現在まで)

事項
1945年 日本軍降伏、米国領に復帰
1946年 米国から独立、フィリピン共和国
ロハス大統領就任
1953年 マグサイサイ大統領
1965年 マルコス大統領
1966年 マルコス政権、ベトナム戦争支援強める
1968〜89年 フィリピン共産党、新人民軍発足
1970年 モロ民族解放戦線(MNLF)創設
1972年 「マルコス大統領戒厳令」布告
1973年 暫定国民議選 与党新社会運動(KBL)圧勝
1981年 「戒厳令」解除。大統領選挙、マルコス氏三選
1983年 アキノ元上院議員、マニラ空港で暗殺
1984年 国民議会選挙。野党躍進、3分の1に
1986年 「ピープルズパワー」アキノ氏大統領就任
1989年 国軍クーデター未遂、国家非常事態宣言
1992年 F.ラモス氏 大統領就任
1998年 エストラダ氏大統領
2001年 アロヨ氏大統領
2010年 ベニグノ・アキノ3世(コラソン・アキノ元大統領の長男)、第15代大統領就任
2012年 モロ解放戦線(MILF)と和平枠組合意
2012年 「リプロダクティブ・ヘルス法」(産児制限含)成立
2016年 ロドリゴ・ロア・ドゥテルテが大統領に就任。

2.国家統治機構

元首

 大統領。現在はロドリゴ・ロア・ドゥテルテ。正副大統領ともそれぞれ別に直接選挙で選出。任期6年、大統領の再選および副大統領の連続3選は禁止。

議会

  • 上院、下院の二院制。
     上院は24議席。全国1選挙区で任期6年、3年毎に半数改選。3選禁止。下院は286議席。選挙区選挙で任期3年。4選禁止。
  • 主要政党の下院議席(2013年総選挙)
    自由党(LP)110、民主主義者国民連合(NPC)42、国民統一党(NUP)24、国民党(NP)18、ラカス(CMD)14

行政

  • 内閣は議会の承認を得て大統領が任命。大統領、副大統領、19の省庁の大臣・長官で構成。

司法

  • 最高裁、控訴裁、地裁の三審制。ほかに公務員犯罪特別裁判所。

3.政治体制

政体

  • 共和国。普通選挙にもとづく民主主義。大統領が政治の最高権力を持つ。

主な政党

自由党(LP) 1946年結成のリベラル政党。現政権の最大与党。現大統領が所属。党首はM.ロハス上院議員。
国民党(NP) 1907年結成。独立運動を主導した保守政党。かつてはマルコス元大統領が所属。党首、M.ビリヤール上院議員
ラカス・カンピ
(CMD)
アロヨ前大統領時代の与党。2009年、ラモス元大統領系の「ラカス(力)」とアロヨ大統領系の「カンピ(自由フィリピンの仲間)」が統合して結成。
民族主義者国民連合
(NPC)
1992年の大統領選の際、候補であったエドワルド・コファンコ氏支持者の政党。
国民統一党
(NUP)
2011年、ラカス・カンピを離れた議員・支持者により結成された政党。

4.人口動態

 国連人口基金(UNFPA)の推計によれば、フィリピン人口は、2013年に1億人を超えた。現況から見ると、その後、2050年に約1億5,700万人、2100年には約1億8,800万人に達すると予測されている。
 若年人口比率が高く、15歳未満が全体の33.4%。15歳~64歳は62.3%、65歳以上が4.3%。国民年齢の中央値は23歳台である。

5.産業構造と就業構造

主要産業

 農業が伝統的な主要産業。

就業者数

 労働力人口は4,431万人。産業別では農林水産業が約27%と最も多いが、近年、コールセンター事業等のビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業を含めたサービス業が大きく成長(全就業人口の約56%が従事)している。
 また、政府は、契約社員が自動的に正社員化する6 ヶ月の試用期間が経過する直前に解雇しグループ関連企業において再度雇用することを繰り返す「ENDO
(end-of-contract)」を2016年内に半減する目標を掲げ、2017年末までにENDO 型契約社員の根絶を目指している。

6.経済状況

経済情勢

  • ASEAN加盟国の中では高い成長率を続けている。
    2015年に成長率が一時鈍化したが、政府及び政府の建設投資の拡大等により、2016年第3四半期には7.1%まで回復している。
     貿易については、2015年に入り輸出が減少し、輸入は増加している。 需要面で景気拡大を牽引しているのは個人消費であり、それを支えているのが、1000万人もの在外フィリピン人労働者(OFW)からの送金である。2015年においてはGDPの8.6%に相当する約256億ドルが送金されており、フィリピン経済を支えている。2015年における船員を除く国外で働くフィリピン人労働者の渡航先の上位はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、シンガポール、カタール、クウェートである。

所得の動向等

  • 一人当りGDPは2,858ドル(2015年)。

7.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 労働者教育・支援プログラムを実施している組織は次の通り。JILAF(日本)、FES(ドイツ)、LO(デンマーク)、SASK(フィンランド)、ACILS(米)、APHEADA(豪)、LO-TCO(スウェーデン)、WSM(ベルギー)。GUFsによる活発な支援。

現地事務所設置

  • 上記のうち、FES(ドイツ)、LO(デンマーク)が現地事務所を設置し事業を展開。

8.組合活動

ナショナルセンター

  • 代表的な労働団体は、フィリピン労働組合会議(TUCP)である。このほか、FFW、SENTROなどのITUC加盟組織、その他がある。2013年、TUCPは分裂し二つの組織が活動している。組織率は8.9%(2012年・労働雇用省)。
  • 活動の主要課題は、①生産性と労使関係、 ②グリーンジョブとディーセントワーク、 ③経済特区とコールセンターの組織化、④組合経済プロジェクトなど。

産業別の状況

  • TUCP加盟産別の主な業種は、製造業、電子、繊維、化学、銀行である。

9.労使紛争の状況

  • 労使紛争の主な原因としては、最低賃金が遵守されないことも含む賃金の不払い、労使が合意した労働協約(CBA)違反によるトラブルの他、セクシャルハラスメント及び職場内の暴力行為等が挙げられる労使紛争の結果ストライキ等の争議行為に発展することはほとんどない。
     労使紛争からストライキ等に発展しない理由として、 憲法を根幹とした政労使が社会対話を行うことでトラブルを解決する土壌や、国が労使紛争の解決に積極的に介入することができる制度が背景にある。未組織の企業では、通常は苦情処理委員会が労働者の苦情解決にあたる。苦情処理委員会で解決されない労働事件は、労働裁判所や全国労使関係委員会(NLRC)で争われることとなるが、その前にシングルエントリー・アプローチ(SEnA)で仲裁・調停を経なければならない。

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • 「賃金合理化法」にもとづき、「三者委員会」が地域と 産業の最低賃金を決定。地域別の状況は以下の表の通り。
  • なお、2012年の法改正で、「生産性賃金制度」が取り入れられた。「生産性賃金」とは、①労働者の生産性、業務内容、生活コスト、企業の業績・財務状況を勘案して調整、 ②別途のガイドラインで調整、 ③導入は企業の任意、とされている。
地域別最低賃金改定状況(2016年12月)

(単位:ペソ、%)

地方コード 対象地域 改定後 改定前後 上昇額 上昇率
NCR マニラ首都圏 491 481 10 2.0
CAR コルディエラ自治区 285 285 0 0
R1 イロコス 280 253 27 10.6
R2 カカヤンバレー 300 255 45 17.6
R3 中部ルソン 364 349 15 4.2
R4 カラバルソン 378.5 362.5 16 4.4
ミマロパ 285 280 5 1.9
R5 ビコール 265 260 0 0
R6 西部ビサヤ 298.5 298.5 0 0
R7 中部ビサヤ 353 353 0 0
R8 東部ビサヤ 260 260 0 0
R9 サンボアンガ半島 296 280 16 5.7
R10 北部ミンダナオ 318 318 0 0
R11 バタオ 317 317 0 0
R12 ソクサージェン 295 275 20 7.2
CARAGA カラガ 280 268 12 4.4
ARMM イスラム自治区 265 250 15 6.0

※職種等で賃金額が異なるため、各地域の最高額のみを表示。

資料:出所:全国賃金生産性委員会

労働・社会保障法制

11.その他

JILAFの事業

  • 招へい事業:1991年度からはじめ、今日までに76人(男性46人、女性30人)の若手労働組合指導者を招へい(2016年度末現在)。
  • 現地支援事業はセミナーを1994年から実施。テーマは「労組基礎教育」、「労使関係」、「労使協議制度」、「金融危機への対応」(2009)、「参加型職場環境改善」(2004~2009)、「労使関係と生産性(PROGRESS)」(2009~2013)、「グローバル化と労働組合の役割」(2013)、「労使関係・労働政策」(2013~2016)。

日本のODA方針

  • 基本方針:「戦略的パートナーシップ」をさらに強化するため、「フィリピン開発計画2011~2016年」が目標とする「包摂的成長」の実現に向けた支援を援助の基本とする。
  • 重点分野:①投資促進を通じた持続的経済成長、②脆弱性の克服と生活・生産基盤の安定、③ミンダナオにおける平和と開発