バングラディシュの基本情報

面積 14.8万平方キロ(日本の0.38倍)(CIA調査)
人口 156,186,882人 (July 2016 est.)(CIA調査)
首都 ダッカ 1,760万人(2017世界年鑑)
主要都市 チッタゴン454万人、クルナ102万人(2017世界年鑑)
主要言語 ベンガル語
民族 ベンガル人、他少数民族
宗教 イスラーム、ヒンズー教、仏教
GDP 1,566億ドル(2015年、世界銀行)
一人当りGDP 1,385ドル(2016年度、バングラデシュ統計局)
労働力人口 7,059万人(2015年ILO)
産業別分布(%) サービス業(53.1%)、工業・建設業(31.5%)、農林水産業(15.4%)(2016年度暫定値、バングラデシュ中央銀行)
IL0中核8条約要 7条約批准、未批准1(138)
通貨 1米ドル=77.67タカ(2015年度平均、バングラデシュ中央銀行)
政治体制 共和制
国家元首 アブドゥル・ハーミド大統領
議会 一院制(総議席350)
行政府 シェイク・ハシナ首相
主な産業 衣料品・縫製品産業、農業
対日貿易 輸出1718億円 輸入1321億円(2016年財務省「貿易統計」)
日本の投資 9,570万ドル(2014年バングラデシュ統計局)
日系企業数 243社(外務省「海外在留邦人数調査統計」(平成28年要約版)
在留邦人数 985人(外務省「海外在留邦人数調査統計」(平成28年要約版)
気候 亜熱帯気候
日本との時差 -3時間
社会労働情勢概要 ・政治は不安定。反政府運動が激しく、車両への放火、爆発事件等が多発している。邦人を狙ったテロ事件も発生し、国内でのイスラム過激主義勢力の伸長が危惧される。
・バングラデシュ経済は、縫製品輸出(中国に次ぐ世界第二位)や海外労働者の海外送金に依存するところが大きく構造的に脆弱である。また、財政は慢性的な赤字となっており、これを外国援助と国内銀行借入等で補填する構造となっている。
・現在政府が運営する工場団地が8ヵ所あるが、欧米からの高い需要を背景に、空きがない状態。日本からの進出企業数が増加し、視察や進出を検討する企業が増えるなど、安価な労働力という特長もあり、バングラデシュへの関心は高いものの、土地不足だけでなく電力、道路、港湾といったインフラの未整備は、南アジア内でも深刻なレベルにある。
・中央労働団体は35団体。中央使用者団体は1団体。
主な中央労働団体 バングラデシュ自由労働組合会議(BFTUC:Bangladesh Free Trade Union Congress)
バングラデシュ労働連盟(BLF:Bangladesh Labour Federation)
ジャティオ・スラミク・リーグ(JSL:Jatio Sramik League)
バングラデシュ・ジャティヤタバディ・スラミク・ダル(BJSD:Bangladesh Jatiyatabadi Sramik Dal)
バングラデシュ自由労働組合連盟(BMSF:Bangladesh Mukto Sramik Federation)
バンラデシュ・サンジュクタ・スラミック連盟(BSSF:Bangladesh Sangjukta Sramic Federation)
ITUCバングラデシュ協議会(ITUC-BC:ITUC-Bangladesh Council)
労働行政 雇用労働省(Ministry of Labour and Employment)
中央使用者団体 バングラデシュ使用者連盟(Bangladesh Employer’s Federation)
最終更新日 2017年 6月 5日
主要統計
(GDP)
201120122013201420152016
GDP成長率 6.76.56.06.16.407.11
一人当りGDP(ドル) 7328228691,1151,2871,385
物価上昇率 (%) 7.510.67.77.46.435.92
失業率 (%) n.a.n.a.n.a.n.a.

1.国家としての成立過程(第二次大戦以降、現在まで)

事項
1947年 英領インドの「東ベンガル州」として分離
1970年 パキスタン総選挙でアワミ連盟(AL)勝利
1971年 東パキスタンで暴動。第4次印パ戦争
1971年 バングラデシュ独立。ラーマン首相
1974年 国連加盟
1975年 ラーマン大統領暗殺・軍政はじまる
1978年 バングラデシュ民族主義党(BNP)設立
1982年 エルシャド戒厳司令官、大統領就任
1986年1月 エルシャド大統領、国民党(JP)設立
1990年 民主化運動活発化
1991年 総選挙、BNP勝利。以降、BNPとALが選挙により交互に政権運営
1991年 憲法改正、大統領は象徴的地位に
1996年 総選挙、AL勝利。ハシナ首相(AL総裁)
2001年 総選挙、BNP勝利。ジア首相(BNP総裁)
2006年 軍の圧力でジア政権退陣。翌年、非常事態宣言
2008年 民政回復。総選挙、AL勝利
2010年代 経済成長続く。BRICsに続く「ネクスト11」と言われるようになる
2014年 総選挙、AL勝利。ハシナ首相。野党は選挙手続きが違憲として認めず、政情不安に

 2015年に入り、野党連合が再び反政府運動を行い、車両への放火、爆発事件等が多発するなど、2016年も邦人を狙ったテロ事件も発生し、国内でのイスラム過激主義勢力の伸長が危惧される。

2.国家統治機構

元首

  • 大統領
  • 現在はアブドゥル・ハミド氏(2009年2月就任)

議会

  • 一院制、350議席。任期5年。議席のうち50は各党に配分の女性枠。
  • 議席(与党)アワミ連盟(AL)、国民党ナジウル派
    (野党)バングラデシュ民族主義党(BNP)、国民党エルシャド派など(ナジウル派以外)、イスラム協会(JI)
  • 選挙 政権の任期満了後、直近に退職した最高裁長官を長とする諮問委員会が「暫定選挙管理内閣」として政権を引き継ぎ、90日以内に総選挙を実施。
     選挙権は18歳以上の男女、被選挙権は25歳以上の男女。

行政

  • 首相 大統領が議会多数派指導者を指名。
  • 現在はシェイク・ハシナ氏(2014年)
  • 閣僚は首相の指名に従い大統領が任命。閣僚の10分の9以上は国会議員から任命。
  • 首相のもと30省。労働行政は「雇用労働省」が担当。

司法

  • ダッカに最高裁上訴部(最高裁に相当)、最高裁高裁部、各県とダッカ・チッタゴンに民事・刑事裁判所など。このほか、治安判事裁判所、女性児童裁判所 公安裁判所 環境裁判所 家庭裁判所 破産裁判所、融資裁判所、迅速裁判所制度がある。

地方行政

  • 7つの州、64の県(「ジェラ」)、496の郡(「タナ」または「ウポジェラ」)、59,990のユニオンにより構成。7州は、ダッカ、チッタゴン、クルナ、ラジシャヒ、ボリシャル、シレット、ランブル。
  • 中央政府は各州長官、各県行政長官、各郡行政官を派遣。県行政長官が地方行政の実質的な責任者。

3.政治

政体

  • 共和制。
  • 普通選挙にもとづく議会制民主主義国。
  • 議員内閣制であり、首相が政治の最高権者。

主な政党

アワミ連盟
(AL)
現在の与党。建国の父、ラーマン初代大統領系。当初はイスラム政党だったが、1955年に政教分離。1992年に社会主義政策を放棄。基本的には親インド的で、米国との関係も重視。党首は第二代ラーマン首相の長女、ハシナ現首相。
バングラデシュ
民族主義党
(BNP)
1978年、ジアウル・ラーマン元大統領(クーデター時の陸軍参謀長)が民政移管に備えて結成。民族主義を掲げ中道右派。中国との関係重視。党首は、1981 年に暗殺されたラフマン元大統領の夫人、カレダ・ジア氏。
国民党
(ジャティヤ党:JP)
1986年、フセイン・モハマッド・エルシャド元大統領(クーデター時の陸軍参謀長)が民政移管に備え結成した中道右派政党。JPは現在 エルシャド派、ナジウル派、マンジュ派の三派に分裂。
イスラム協会
(JI)
1941年、イスラム教にもとづく憲法の制定を呼びかけて設立したが、独立に反対し活動禁止。独立後活動再開。今日も西部に支持基盤。党首はラーマン・ニザミ元工業相。

4.人口動態

 1億6,099万人(世界銀行、2015年)

バングラデシュは人口密度が高く、北海道のわずか約1.7倍という面積に、1億5,250万人が生活。

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • 衣料品・縫製品産業、農業

就業者数

  • 6745万人(ILO2015年)
    インフォーマルセクターの労働者数

    男性が3240万人、女性が1490万人、合計で4730万人(87.4%)(ITUC―BC調べ)

6.経済状況

経済情勢

  • バングラデシュ経済は、7.11%(2016年度)の経済成長率を達成した。背景として縫製品輸出や海外労働者送金の安定的伸長、農業セクターの安定した成長といった要因があげられる。他方、縫製品輸出や海外労働者の海外送金に依存するところが大きく構造的に脆弱であるため、今後の持続的発展に向けて、産業の多角化が課題である。また、海外からの投資促進のため、電力・道路等の基礎インフラの整備が急務である。

7.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 支援組織は、日本JILAF、ドイツFES、米国ACILS、フィンランドSASK、スウェーデンLO-TCO、デンマークLO、ベルギーWSM、オランダFNV、カナダCLCが事業を行う。
  • GUFsは加盟組織を通じての支援などを行う。

現地事務所設置

  • このうち、FES、ACILSは現地事務所を設置。WSMは現地リエゾン組織を持つ。

支援組織現地調整会議

  • 2012年 ダッカ
  • 2014年 ダッカ

8.組合活動

ナショナルセンター

  • バングラデシュには、20前後のナショナルセンターがあり、このうち有力6組織が、ITUCに加盟し、ITUC-BC(ITUC加盟バングラデシュ協議会)を形成して運動をリードしている。
  • ITUC-BCの6組織を含む17組織によるバングラデシュ労働組合統一協議会(SKOP)がある。1983年結成であり、主として政策面での協調を行うことがある。SKOPには5つの世界労連(WFTU)加盟組織が含まれる。
  • また、ITUC-BCの6組織を含む14組織は、バングラデシュ労働組合研究所(BILS)に参加し、政策、教育などの活動を進めている。
  • 一方、バングラデシュには、NGO が多く存在する。中でも筆頭がBRACK(バングラデシュ農村向上委員会ブラック)である。BRACKは、すべての県に事務所を置き、農村や都市の貧困層を対象に活動している。
  • また、グラミン銀行による貧困層への比較的低金利の融資を行なう事業(マイクロクレジット)が女性の自立と貧困の改善に大きな貢献をしたとして国際的に注目を集めている。

9.労使紛争の状況

  • 労働環境:アパレル、既製服製造業・建設・船舶解体など多くの分野で、職場の安全衛生が労使紛争の主要な原因の1つとなっている。アジアの中でも、バングラデシュは労災事故(死亡・傷害)発生率が最も高い国の1つで、安全衛生環境の整備が遅れている。
  • 生計費:バングラデシュの労働市場、特にアパレル分野では、約10年以上前から、適正賃金と賃金遅配が大きな問題となっており、労使紛争の原因となっている
  • 問題が指摘されてきた、輸出加工区(EPZ)における労働組合の組織化の禁止については、政府は現在、アメリカやILOの指摘を受け、EPZにおける労働組合権を規制しないような指導を行っており、緩和の方向に向かいつつある。

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • バングラデシュの最低賃金は、政府の設置した最低賃金委員会(政労使で構成)で審議し、産業・業種ごとに政府が決定する。改定は5年に1度。
  • 衣料品産業の最低賃金は、月額約65米ドル(約6,900円)、縫製産業の最低賃金は、月額約68米ドル(約7,129円)

労働・社会保障法制

  • バングラデシュの主な労働・社会保障法制は次の通りである。
    「賃金支払法」(1936年)、「工場法」(1965年)、「産業関係法」(1969年)、改正労働法(2013年)

11.その他

JILAFの事業

  • 招へい事業
    1994年度から開始、今日まで75人(男性52人、女性23人)の若手労組指導者を招へい(2016年度末現在)
  • 現地セミナー支援
    1996年度から現地セミナーなどの事業を開始。テーマは、「参加型職場環境改善」(94~06)、「生産性と労使関係等」(95~06)、「労働者共済」(02~04)、「組織化・若手育成」(05、06)、「労使関係と組織化、女性、生産性」(09~12)、「グローバル化と労働運動」(13)、「労使関係・労働政策」(14~16)。
  • インフォーマルセクター支援
    国際労使ネットワーク等を通じた組織化による草の根支援事業(SGRA)を実施。2011年には調査活動。2012年以降、具体的な事業を行う。

日本のODA方針

  • 中所得国化に向けた、持続可能かつ公平な経済成長の加速化と貧困からの脱却に向けた支援を基本方針とする。同方針に沿ってバングラデシュの経済活動の活性化及び社会の脆弱性の克服への取り組みを支援する。
  • 重点分野は、①中所得化に向けた全国民が受益可能な経済成長の加速化、②社会脆弱性の克服に向け、貧困削減、初等教育、母子保健、安全な飲料水の提供などSDGsの達成への貢献である。