スリランカの基本情報

面積 6万5,607㎢(日本の0.17倍)(CIA調査)
人口 22.235 million (July 2016 est.)(CIA調査)
首都 スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ12万8000人(2017世界年鑑)
主要都市 コロンボ(70万7000人)(2017世界年鑑)
主要言語 シンハラ語、タミル語、英語
民族 シンハラ人(72.9%)、タミル人(18.0%)
宗教 仏教(70%)、ヒンドゥ教、イスラム教
GDP 813億米ドル(2016年)(スリランカ中銀)
一人当りGDP 3,835米ドル(2016年)
労働力人口 809万人(2015年ILO)
産業別分布(%) サービス業56.6%、鉱工業26.2%(うち製造業15.6%)、農林水産業7.9%(2015年、(公財)国際金融情報センター各国情報より)
IL0中核8条約要 すべて批准
通貨 1米ドル=152.33ルピー(2017年5月末値)
政治体制 共和制
国家元首 マイトリーパーラ・シリセーナ大統領
議会 一院制(定数225議席)
行政府 ラニル・ウィクラマシンハ首相
主な産業 卸・小売業、製造業、農業・畜産・林業
対日貿易 輸出760億円 輸入262億円(2016年財務省「貿易統計」)
日本の投資 1,490 万ドル(スリランカ投資庁2014年)
日系企業数 72社(外務省「海外在留邦人数調査統計」(平成28年要約版)
在留邦人数 1,015人(外務省「海外在留邦人数調査統計」(平成28年要約版)
気候 熱帯性気候 雨期6月~11月
日本との時差 -3時間
社会労働情勢概要 2015年実施された大統領選挙にて、マイトリパラ・シリセナ新大統領が誕生した(内戦中を含め、約10年間に亘り国のトップに君臨したラージャパクサ前大統領は汚職嫌疑等で失脚)。その後8月に実施された総選挙では、統一国民党(UNP)を主軸とする連立政権が発足し、同党の党首であるウィクラマシンハ氏(ジャヤワルダナ初代大統領の甥)が首相に就任。
古くから親日国として知られる同国は、①内戦の終結と政治的安定、②地政学的優位性、③英語力や穏やかな国民性、④大統領選・総選挙の自由で公正な実施と民主主義の根付き――などを背景に、❶外国資本や外国籍・日系企業(東京三菱銀行、ノリタケ他130社超)の参入、❷観光・建設産業の伸長――が主因となって、年率7%台の経済成長を遂げている。加えて、シリセナ新大統領は、中国・インド・パキスタン・日本を「重要国」と公言し、外交方針の転換を図ったことから(前大統領は親中路線に傾倒)、多国籍企業の参入がさらに加速。
その一方、反目・分立する労働組合(ナショナルセンター)は各政党との結びつきが強く、異なる政治方針等がナショナルセンター相互の連帯を阻んでいる。労働運動の糾合と結集はもとより、①多国籍企業(特定国)における労使紛争件数の増加、②若年雇用率(失業率20%超)、③海外越境労働者やインフォーマルセクター労働者の増加――等の課題に直面している。
主な中央労働団体 セイロン労働者会議(CWC:Ceylon Workers’ Congress)
スリランカ全国労働組合連盟」(NTUF:National Trade Union Federation)
スリランカ・ニダハス・セワカ・サンガマヤ(SLNSS)
労働行政 労働・労働関係省:ギャミニ・ロクゲ大臣
中央使用者団体 セイロン使用者連盟(EFC):スニル・G・ウィジェシナ議長 28産業団体
最終更新日 2017年 6月 5日
主要統計
(GDP)
201120122013201420152016
GDP成長率 8.26.37.27.44.84.4
一人当りGDP(ドル) 2,8362,8163,12836253,9243,835
物価上昇率 (%) 6.77.66.93.33.93.9
失業率 (%) 4.24.04.44.34.04.4

1.国家としての成立過程(第二次大戦以降、現在まで)

事項
1946年 最初の憲法制定
1947年 第一回総選挙実施
1948年 英連邦内の自治領セイロンとして独立
1960年 バンダラナイケ夫人、世界初の女性首相
1972年 英連邦内自治領から完全独立。国名をスリランカ共和国に改称
1956年 シンハラ語の公用語化
1978年 国名をスリランカ民主社会主義共和国に改称
1983年 解放戦線(タミル・イーラム解放の虎)との内戦本格化
1987年 スリランカ・インド平和協定成立、インド平和維持軍(IPKF)がスリランカへ進駐
1987年 シンハラ語に加えタミル語を公用語化
1990年 IPKF完全撤退
2001年 総選挙で野党統一国民党(UNP)が大勝。
シクラマシンハ首相就任
2002年 解放戦線との停戦合意、和平交渉
2004年 総選挙で野党統一人民自由連合(UPFA)勝利。
地震津波で3万人以上が犠牲
2005年 ラージャパクサ大統領就任
2008年 解放戦線との停戦合意失効
2009年 政府軍、反政府支配地域奪取、内戦終結
2010年 大統領選挙でラージャパクサ大統領再選
総選挙で与党統一人民自由連合(UPFA)が圧勝
2013年 北部州で初のタミル人主導州政府が誕生
2015年 シリセナ大統領が当選。政権交代が実現。
就任直後、議会解散し、統一国民党(UNP)が第一党に。

2.国家統治機構

元首

  • 大統領。国民投票で選出され任期5年、3選禁止。
  • 現職はマイトリバラ・シリセナ氏(2015年選出)

議会

  • 一院制(定数225議席、任期5年)

行政

  • 内閣は大統領が任免。首相は、ラニル・ウィクラマシンハ氏
  • 政府は首相府、40省庁ほかで構成

司法

  • 初等裁判所、下級裁判所、地方裁判所、高等裁判所が第一審裁判所であり、上位に上訴裁判所、最上位に最高裁判所がある。最高裁判所は基本的人権に関する訴訟では独占的な裁判権を保有する。
    労働問題は労働審判で評決が下される。

3.政治体制

政体

  • 共和制
  • 普通選挙にもとづく民主主義
  • 大統領が政治的実権を持ち首相を任免

主な政党

統一国民党(UNP)
106議席。
1946年結成。自由主義経済を推進、穏健路線。党首はウィクラマシンハ首相
統一人民自由連合(UPFA)
95議席。

2004年結成。スリランカ自由党(SLFP)中心の左派連合。シリセナ大統領が代表。

タミル国民連合ITAK(TNA)
16議席。
2001年結成。少数派タミル人の民族自決、分離独立を要求するタミル統一解放戦線(TULF)を中心に連携。
人民解放戦線(JVP)
6議席。
1965年結成。シンハラ民族主義の左翼過激派組織。党首はアヌラ・クマラ・ディサナヤケ。

4.人口動態

  • 総人口:2,205万人(2015CIA)
  • 労働力人口:809万人(ILO2015年)

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • 従来、コメと三大プランテーション作物(紅茶、ゴム、ココナツ)中心の農業依存型経済だったが、近年は工業化が進展。最近の最大輸出品目は衣類製品。紅茶の生産高は34万トン。

就業者数

  • 就業者数:771万人(ILO2015年)

    スリランカでは、労働者の多くが日雇労働者と農業水産業従事者となっている。しかし、今後経済成長に伴い、販売サービス従事者の割合の増加が見込まれている。
  • 「一人あたりのGDP」は、3,889米ドル(2015、ジェトロ国別情報)

6.経済状況

経済情勢

  • スリランカ経済は,内戦の終結による復興需要や経済活動の活性化等によって,2012年に過去最高となる9.1%の経済成長を達成した後,2015年は4.8%成長となった。2015年の失業率は4.6%。インフレ率は一桁台に留まっており,2015年は0.9%増に減速した。
  • 主要輸出品は衣料品、紅茶、ゴム。輸入品は繊維、石油、機械、食料。主な貿易相手国はインド、米国、中国など。輸出額は三年連続で100億ドルを上回ったものの5.6%減となった。輸入額は2.5%減となり,結果として貿易収支の赤字幅は拡大した。また,海外からの観光客数は治安の改善を受けて改善しており、2015年は四年連続で100万人を上回った。

所得の動向等

  • 一人当りGDPが年々増加。2011年約2,800ドル、2015年3,889米ドル(ジェトロ国別情報)。ただし、コロンボのある西部州とその他の地域の格差が大きい。上位20%が富の50%以上を保有しており、所得の偏在は大きく、改善傾向が見られない。

7.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 支援組織:JILAF(日本)、ACILS(米国)、FES(ドイツ)
  • 国際産別労組(GUFs): IUF、ITF、IMF、PSI、EI、UNI、IndustriALL、IFJ、

現地事務所設置

  • ACILS(米)
  • FES(独)

8.組合活動

ナショナルセンター

  • 2012年現在、2,177組合(登録ベース)。
  • ナショナルレベル:CWC、NWC、NTUF、SLNSSがITUCに加盟。
  • スリランカの労働組合は、1947年独立運動の前線で運動を主導しており、当時より政治的役割を担っていた。現在も労働組合と政治との結びつきが強く、労働組合が政治的目的で利用される傾向にある。
  • CWCは労働組合であると同時に政治政党でもある。現会長のムトゥ・シヴァリンガム氏は経済開発省副大臣、事務局長のアルムガン・トンダマン氏は、畜産・農村開発省(Ministry of Livestock & Rural Community Development)の大臣である。

9.労使紛争の状況

  • スリランカでは、2002年をピークに、労働争議は減少の傾向にある。その原因としては、労働者の教育水準の向上や、労使間の話し合いによって交渉されるようになってきたことなどが挙げられる。
  • 一方、輸出加工地区(EPZ)においては、使用者が解雇などの報復措置によって労働組合結成を阻止するために労働者の組織化が難しくなっている。
    また、労働組合指導者はEPZに立ち入ることができない。労働監督官は、普通の企業にはいつでも立ち入ることができるが、EPZにおいては、労働監督官であっても、使用者側からの事前許可なく立ち入りはできない。労働者がデモを行なっても、デモ隊が警察に襲われ、一人の若者が死亡し、数名の負傷者が出たという事件があり、それ以来、若年労働者は問題があるときは、労働組合を頼るというよりも、政治家を頼るようになっている。

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • スリランカの最低賃金は、毎年賃金委員会によって決定され、経済発展や生活費の上昇に伴い、最低賃金も上昇している。特に労働組合の活動の盛んなプランテーションの賃金上昇が高い傾向にある。
    最低賃金は以下の通り。
    非熟練工:75米ドル/月、熟練工:78米ドル/月(2014.1.1改定。繊維工場、勤続3年目の場合ジェトロ調べ)
    公的部門は別の賃金体系が定められており、民間よりも高い給与となっている。

労働・社会保障法制

  • スリランカには約50の労働法が存在するといわれている。主な労働法は以下の通り。
    雇用関連法:「店舗及び事務所労働者法」、「賃金委員会法」
    社会保障関連法:「被雇用者準備基金」、「被雇用者信託基金」
    労働安全衛生関連法:「工場法」、「労働者補償法」
    労使関係法:「労使争議法」、「解雇法」、「労働組合法」

    女性・児童の雇用関連法:「退職金法」、「女性・若年者・児童雇用法」、「出産寄付法」

11.その他

JILAFの事業

  • 招へい事業
    1989年から今日まで46人(男性32人、女性14人)の若手労組指導者を招へい(2016年度末現在)。
  • 現地支援事業
    2010年度より現地支援事業を実施。テーマは「労使関係・労組基礎」(10、11)、「労使関係・雇用契約」(12)、「グローバル化と労働運動」(13)、「労使関係・労働政策」(13~16)。2012年度まではCWCとの共催。2013年度よりCWC、NTUFとそれぞれ共催で開催。

日本のODA方針

  • 着実に経済成長しているスリランカの一層の成長と安定化を促すため、経済成長のための基盤整備を中活とした支援を行う。また、同国の紛争の歴史や開発の現状を踏まえ、後発開発地域にも十分留意した支援を行うとともに、災害時の同国の脆弱性に配慮する。さらに、我が国と中東を結ぶシーレーンの海上安全の確保に資する支援を行う。
  • 重点分野は、①基盤インフラの整備などによる経済成長の促進、②後発開発地域の開発支援、③災害対策など脆弱性の軽減などを進める。