カンボジアの基本情報

面積 18.1万㎢(日本の0.48倍)(CIA調査)
人口 15,957,223人(CIA調査、July 2016)
首都 プノンペン(人口173万1000人、2016世界年鑑)
主要都市 シアヌークビル15万6000人、バタンバン14万人(2016世界年鑑)
主要言語 カンボジア語(クメール語)
民族 クメール人90%程度。少数民族
宗教 仏教(国教)、一部イスラム教
GDP 約177億米ドル(2015年推定値、IMF資料)
一人当りGDP 1,140米ドル(2015年推定値、IMF資料)
労働力人口 861万人(2015年ILO)
産業別分布(%) サービス業39.6%、鉱工業32.1%、農林水産業21.2%(2015年、公財)国際金融情報センター)
IL0中核8条約要 すべて批准
通貨 1米ドル=4,006リエル、2016年3月末時点。カンボジア中央銀行
政治体制 立憲君主制
国家元首 ノドロム・シハモニ国王
議会 二院制(上院、国民議会)
行政府 フン・セン首相
主な産業 農業、縫製業、建設業、観光業
対日貿易 輸出333億円 輸入1309億円(2016年財務省「貿易統計」)
日本の投資 4,447 万ドル(2014年カンボジア経済特別区委員会(CSEZB)
日系企業数 224社(外務省「海外在留邦人数調査統計」(平成28年要約版)
在留邦人数 2,492人(外務省「海外在留邦人数調査統計」(平成28年要約版)
気候 亜熱帯 雨期5~11月(プノンペン)
日本との時差 -2時間
社会労働情勢概要 ・政治は安定化しており、人民党政権が続いているが、最大野党の救国党も勢力を伸ばしている。
・カンボジアの労働市場は、市場経済導入以降、良好な状態にある。堅調な縫製品等の輸出品、観光客及び海外投資の順調な増加により、今後も安定した経済成長が見込まれている。
・労働力人口約890万人のうち、労働契約を締結している労働者は約200万人に過ぎず、残りの500万人以上はインフォーマル経済分野で働いている。
・近年、繊維産業、皮革産業などで賃金引上げを求めるストライキが増加していたが、2013年をピークに減少傾向にある。
・最低賃金は大きく引き上げられ、2016年現在、140米ドルとベトナムと肩を並べるようになった。しかしながら、物価は最低賃金の上昇を上回っている。
・2016年カンボジア国会で「労働組合法」が成立。
・中央労働団体は、与野党、中立系の3組織を中心に11団体。
主な中央労働団体 カンボジア労働組合連盟(CCTU)
カンボジア労働組合連合(CCU)
カンボジア労働総連合(CLC)
労働行政 労働・職業訓練省
中央使用者団体 カンボジア使用者協会(CAMFEBA)
最終更新日 2017年 6月 5日
主要統計
(GDP)
201020112012201320142015
GDP成長率 6.07.17.37.47.07.0
一人当りGDP(ドル) 7538539441,06311301,140
物価上昇率 (%) 4.05.52.93.03.53.5
失業率 (%) 3.82.00.20.3n.a.n.a.

1.国家としての成立過程(第二次大戦以降、現在まで)

事項
1953年 フランスから独立
1953-1970年 シアヌークによる「王政社会主義」の時代
1960年代後半 計画経済行詰り、ベトナム戦争が激化
1970-1975年 親米派ロン・ノル将軍によるクーデター、「カンボジア共和国」
1975-1979年 クメール・ルージュ(ポル・ポト派)による「民主カンプチア」の時代。恐怖政治により100〜200万人死亡
1979年 ベトナム軍が侵攻。人民党(共産党)による「カンプチア人民共和国」。対抗する王党派、クメール・ルージュ、共和派が三派連合を形成し、内戦続く
1991年 パリ和平協定
1991-1993年 国連暫定統治。「カンボジア最高国民評議会」(SNC)が新政権設立準備
1993年 第1回総選挙、王党派と人民党の連立政権。新憲法公布。シアヌークを元首とする新生「カンボジア王国」発足
1998年 第2回総選挙、人民党主導の連立政権発足
1999年 ASEAN加盟。外資導入などが活発化
2004-2007年 平均10%以上の経済成長実現
2003年 第3回総選挙、第2次人民党連立政権
2012年 民主党・人権党合併、「カンボジア救国党」結成
2013年 第5回国民会議選挙。人民党67議席、救国党56議席

2.国家統治機構

元首

  • 国家元首:ノロドム・シハモニ国王(2004年10月29日即位)

議会

  • 2院制議会(1993年に上院設置)
  • 元老院上院:定数61/任期6年/解散なし
    議席数
    カンボジア人民党 46/ 61 (75%)
    カンボジア救国党 11/61
  • 国民議会
    (下院):定数123/任期5年/1年間に2度内閣の総辞職があった場合に解散可能。
    議席数(2013年7月28日選挙結果)
    (与党)カンボジア人民党:67/123(55%)
    (野党)カンボジア救国党:56/123

行政

  • 議院内閣制。
    首相の下に、閣僚評議会と25省2庁がある。
    首相:フン・セン(人民党:社会主義時代から通算27年間首相職にある。)
    労働行政は労働職業訓練省が担当。

司法

  • 三審制。一般裁判所として州々特別市裁判所、控訴裁判所、最高裁判所があり、その他に軍事裁判所がある。労働法典は労働裁判所を規定しているが未設立。

3.政治体制

政体

立憲君主制。普通選挙にもとづく民主主義。

主な政党

カンボジア人民党 上院、下院ともに過半数を占める政権政党。源流はインドシナ共産党から1951年に分離したクメール人民革命党。1979年に「カンボジア人民革命党」(共産党)として再建。1991年に現党名に改称するとともに、マルクスレーニン主義、一党独裁を放棄。2015年現在、党名誉議長はヘン・サムリン、議長がフン・セン、副議長がサル・ケン、サイ・チュムである。
フンシンペック党 前シアヌーク王系の王党派の政党。1993年総選挙では第一党であったが2013年総選挙で議席を失う。
カンボジア救国党

カンボジアの上下両院(元老院、国民議会)でカンボジア人民党(以下、人民党)に次ぐ議席を有する。

2012年、野党第一党のサム・ランシー党とケム・ソカー率いる人権党が合流して発足。

4.人口動態

  • 総人口:1,570万人(2015)、人口増加率:1.64%
  • 人口分布:年少者33.7%、生産年齢62.0%、高齢者4.3%、平均年齢:22.6歳、平均寿命:62.9歳

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • カンボジアの主要産業は、85%の人口が従事している農業(GDPの30.5%)、工業(GDPの27.1%)、サービス業(GDPの42.4%)(2014年、ADB資料)。主産業である縫製業や農業、観光業、サービス業、建設・不動産業では今後も2 桁台の成長が見込まれている。

就業者数

  • 就業者数は861万人。(ILO2015年)

    労働人口のうち、労働契約を締結している労働者は約200万人に過ぎず、残りの500万人以上はインフォーマル経済分野で働いており、労働法は適用されない。社会保障も無く、所得も非常に低い状態にある。

6.経済状況

経済情勢

  • カンボジア経済は世界同時不況の影響を受け、2009年の経済成長率は0.1%まで落ち込んだものの、2014 年の成長率は7.0%で、2011年から7%台の高成長を維持している。

所得の動向等

  • 一人当りのGDPも年々増加。2012年には、945.7ドル、13年は1,018米ドル、2014年は1,080米ドル、2015年は約1,200米ドル。特にプノンペン市では5,000ドルクラスの世帯も台頭。
  • 中間所得層の増加に伴い、個人消費が活性化。ファストフード店、ブランド店が市内に続々と進出。

7.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 支援組織:JILAF(日本)、FES(ドイツ)、ACILS(米国)
  • 国際産別労組(GUFs):EI、IUF、BWI、UNI、ITF、IndustriALL(旧TWARO-ITGLWF)

現地事務所設置

  • ACILS(米)

8.組合活動

ナショナルセンター

  • 2012年12月現在、2,583組合(登録ベース)、71産別、11のナショナルセンター
  • 2012年12月現在、7つの使用者団体(ILO調べ)
  • ナショナルレベル:CCU、CCTU、CLC(旧WCL系)がITUCに加盟、ITUC-CCを組織。
  • CCTUは、ITUC未加盟のNACCと共闘、CCNUを結成。政府より支援あり。
  • CLC、CNC、CCUはNGOの支援、野党の支援あり。

産業別の状況

  • 繊維産業:60%(267工場、約30万人組織化)
    ゴム、タバコ:25%、建設:約5%、観光業:0.06%、公務労働:5%、ビール販売促進:5%など。
    全産業の約13%が組織化されている。

9.労使紛争の状況

  • 近年、繊維産業、皮革産業などで賃金引上げを求めるストライキが増加。2013年をピークに減少傾向にある。
  • 2012年、スバイリエン州(東部ベトナム国境近く)の衣料メーカーの工場で賃金改善を要求する2万人規模のストライキが発生。外部からの発砲があり労働者3人が負傷。
  • 2013年、コンポンスプー省(東部)の皮革メーカー工場で大型のストライキ発生、国道が通行不能に。
  • 2013年末には東部のバベット工業団地で、台湾系、中国系の製造工場でストライキがあり、同団地の日系企業にも飛び火した。

カンボジアの労働争議件数の推移

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
労働争議件数(件) 80 105 58 45 34 121 147 108 118

カンボジア縫製製造業協会(GMAC)統計

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • カンボジアの最低賃金問題は社会的なイッシューとして注目されている。2014年には、プノンペンにおいて、賃金の引き上げを求めストライキ中の労働者に治安部隊が発砲し、3人の死亡者を含む約40人が負傷するなどの事態となった。政府はそういった事態を受け、最低賃金を月間100米ドルに引き上げるとともに向こう5年間、連続して引き上げを実施し、2018年には160ドルにするとした。
  • また、政府は、2015年に最低賃金制度について、労働紛争を防止すべく、1)対象について、繊維・製靴部門から他の製造業やサービス業へ、さらにすべての産業における一般的な最低賃金制度とするとともに、2)最低賃金の引き上げについてのプロセスについて法律で明確化する方向を打ち出している。
カンボジア最低賃金の推移
2006 2010 2013 2014 2015 2016 2017
最低賃金額(ドル) 50 61 80 95 128 140 153

労働・社会保障法制

  • カンボジアの基本的な労働法は、1997年の「労働法典」であり、民主化後の1992年「労働法典」を大幅に改正したもの。 http://www.jilaf.or.jp/asia_laborlaw/data/cambodia_001.pdf
  • 2016年労働組合法が成立・施行され、1)登録されていない・登録を取り消された労働組合は違法であること、2)登録されている労働組合については、組合規則や組合長の名前等の情報が管轄の労働局に記録されていること、3)最大代表労働組合のみが使用者との団体交渉権を有すること、4)最大代表組合の要件・登録制について規定した。http://www.jilaf.or.jp/asia_laborlaw/data/cambodia_002.pdf

11.その他

JILAFの事業

  • 招へい事業:2001年度から合計34人(男性21人、女性13人)(2016年度末現在)。
  • 現地支援事業:2010年度から労使関係セミナーなどを開催。テーマは「労使関係・労働法」(2010~2012)、「グローバル化と労働運動」(2013)、「労使関係・労働政策」(2013~2016)。

日本のODA方針

  • カンボジア政府が掲げる開発目標達成を支援し、ASEAN統合、連結性の強化、域内の格差是正を図るとともに、人間の安全保障及び環境の持続可能性を確保する。その重点分野は、①経済インフラの整備など経済基盤の強化、②保健医療の充実など社会開発の促進、③法整備支援などのガバナンスの強化である。